PC-9821 V166 流星モデルの音源ボードを86音源化

 PC-9821 V166/200 の標準音源ボードでFM音源を鳴らせるのはWindows上だけらしい。ただし、流星モデルと言われる前期型の音源ボードには、どう言うわけかFM音源チップ用の未使用回路があってパーツを追加すればMS-DOS上でFM音源が使用できるようになるという、てことでやってみた。
※86音源互換ですが大きな違いとして、使用するYMF288にはYM2608にあるPCM機能がないとのこと。FMPであればWSSのPCMを使用可能。CanBe音源とも呼ばれる(?)

パーツの追加方法等は、こちらのブログで解説されてました
Lost Technology        https://madscient.hatenablog.jp/
 「9821バリュースター(流星型)の音源ボードにYMF288が載る件(その2)

1.パーツの追加
ブログの通りなのですが補足も含め
(1)表側
 v166fm_1

音源チップYMF288-M
DAC:オリジナルはuPD6379のようですが、uPD6379A、BU980F等も使用可
 ・ブログ作成時はBU980Fが入手しやすかった
 uPD6379A/BU980Fを使用する場合は
 (1)ピン配置がuPD6379とは異なる
 ・uPD6379とはピン配置が180度違うので基板のマークの取り付け方向とは逆に取り付ける(仕様書確認)
 (2)音声の左右が入れ替わるので対策が必要
 方法1:ICの左右の出力ピンと基板のランドをビニル電線等で逆付けするなど
 方法2:uPD6379A/BU980FへのLRCKをインバータIC(74AHC1G04等)で反転させて入力する。(この方法だと左右で位相が1サンプル ズレる。uPD6379と同等)
アルミ電解コンデンサ等:16V47uF x1
チップ抵抗(1608)
 ・100 Ω x3
 ・10k Ω x1
チップコンデンサ(1608)
 ・0.1u F x2
(2)裏側
 v166fm_2

チップ抵抗(2012)
 ・36k Ω x2  ※個体差か判りませんが36kΩだと音が小さい。3.6kΩ程度で良さそう。
チップコンデンサ(3216)
 ・1u F x2

2.FM音源の使用方法
 電源投入やリセット時の初期設定が FM音源を使用できない設定になっているため、毎回、FM音源を使用する設定にする必要があるようです。
 FMPなどは実行時に自動で使用可能にしてくれるようですが、通常は、SICと言うソフトで設定変更します。
SIC (Sound & ID Controler)          Tech PC98
(Contents(目次)”(98/04/19) Down Load Page (ダウンロード)”)
MS-DOS起動後に以下のコマンドを入力するとFM音源が有効となります。
 SIC.EXE /OPNA
CONFIG.SYS か AUTOEXEC.BATに記載しておくと楽。
:”現在のマシン状態”でマスクになっている :OPNA拡張モード
 ymf288mask   
ymf288opna

3.起動方法応用編
(1)MS-DOS起動のソフトの場合
 起動用のフロッピーディスク、またはハードディスクに SIC.EXE を入れ、CONFIG.SYS、またはAUTOEXEC.BATに以下のようなコマンドを追加する。
・CONFIG.SYSの場合
 DEVICE = SIC.EXE /OPNA
・AUTOEXEC.BATの場合
 SIC.EXE /OPNA

(2)MS-DOS起動ではない主にフロッピーのソフトの場合
ひと手間必要ですが、HSBを使うと起動できます。ただし、全てのソフトで可能かは判りません。
HSB(High Speed Boot)           Vector
(1)ハードディスクを使用している場合(普段からHSBを使っている場合)
SIC.EXE /OPNA でFM音源を有効にして、HSB.EXE F とフロッピー起動でリセットする
※HSBの設定によっては上手く起動できない場合もある?その場合は起動用フロッピーを用意する方法へ。
(2)フロッピーディスクドライブが2ドライブある場合
起動用のフロッピーディスクを用意し、システム転送付きでフォーマットする。
 例:format /s b:
フォーマットした起動用フロッピーディスクに HSB.EXE と SIC.EXE を入れる。
CONFIG.SYS を以下のように作成する
 DEVICE=HSB.EXE
 DEVICE=SIC.EXE /OPNA
起動用フロッピーディスクをドライブ2に入れ、起動する。
起動したら、ドライブ1に起動したいソフトを入れ、HSB.EXE F コマンドでフロッピー起動でリセットする
(3)フロッピーディスクとハードディスクを使用する方法
ハードディスクにHSB.EXEを入れる
起動用のフロッピーディスクを用意し、システム転送付きでフォーマットする。
 例:format /s b:
フォーマットした起動用フロッピーディスクに HSB.EXE と SIC.EXE を入れる。
CONFIG.SYS を以下のように作成する
 DEVICE=HSB.EXE
 DEVICE=SIC.EXE /OPNA
起動用フロッピーディスクをドライブ1に入れ、起動する。
起動したら、MS-DOSのカレントドライブをハードディスクにする
ドライブ1を起動したいソフトと入れ替え、HSB.EXE F コマンドでフロッピー起動でリセットする
(4)フロッピーディスクドライブが1台でハードディスクが無い場合
残念ながら方法はない(?)

4.ファルコム等2DDソフトがブートできない
 フロッピー起動でもFM音源が使えるので手持ちの ソーサリアン3.5インチ版を試したのですが、そもそも起動できないことが発覚。ネットでいろいろ調べたところ、V166については情報が見つからなかったのですが、Raについての情報を発見。V166も同じ理由でブートできないと思われます。
PC-9821 で2DDブート可能な機種にはシステムセットアップメニュー([HELP]キー設定)の ディップスイッチ3にフロッピーディスクモードの設定がある
※MS-DOS(少なくともv6)なら2DDでもブート可能です。
えらー15の小屋        https://hp.vector.co.jp/authors/VA000363/index.htm
(”技術情報 updated 2023.7.17” –> ”DOSゲームとPC-9821R(2000/1/23版)” –> ”PC-9821Raの互換性”)
※ベクターのホームぺージサービスは 2024年12月20日に終了予定(当記事作成時)となっているようです。

5.FMPでのPCM再生
 YMF288には PC-9801-86音源ボードの音源チップ YM2608にあるPCM機能が無いため、PCMを使用した音楽データで通常PCMは鳴らないのですが、PPZ8を使うとV166の音源ボードのYMF701のPCM機能を使って鳴らせます。(と言っても、詳細は自分ではよく判っていません。。)
PPZ8は Version 1.08以降を使う必要があります。
※PCMの音が大きいと思うので、-Aw55 とか音量オプション付けると良い

Version 1.08 R4 がこちらのサイトにアップされてました。
PPZ81084.LZH          JP3TLC's homepage
(PC-9800 “118音源をDOS(FMP)で使う”)

下記のファイルにはVersion 1.08β3 が入ってます。
FSP_V25C.LZH          Fm Sound Player (FSP)
※chromeだと文字化けする。以前は拡張機能で文字コード変更できたけど 最近使えなくなって不便



余談
 PC-FXGA用に PC-9821 V166 を入手して使っていたのだけど、MS-DOS上でFM音源が鳴らない。確かV166を入手しようと決めた時にFM音源が載っているということで選んだのだけど、なんと、Windows上では使えるけどMS-DOS上では使えないことが判った。PC98は種類が多くてよく判らない(^^;

 そんなで情報収集したところ、PC-9821 V166/V200でも流星モデルと言われる前期型の音源ボードならパーツを追加することで MS-DOS上でFM音源が使えることが判ったが入手していたのは青札モデルと言われる、後期型。失敗した。

 しかし、PC-9801-86音源ボードは高値安定でこれならV166をもう一台入手するほうが安い、と言うことで流星モデルを入手。こうして本体が増えていく・・・

<関連>
PC-9821/9801/EPSON98 の実験室        http://saved9821.blog.fc2.com/
(月別アーカイブ –> 2010/08 –> ”NEC G8XZU (V200流星サウンド機能)”)
・uPD6379だと位相が1サンプル ズレるとの情報   X(旧Twitter)
PC-9800で東方旧作               https://j02.nobody.jp/jto98/top.htm
(【YMF288/YMF297(86音源)】”CanBe音源”ー”CanBe音源で靈異伝を動かす”)



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